OKURIRU ブログ

アクセルスペースHD(402A): 国策「宇宙戦略基金」に乗るスペーステックの本命。赤字成長株の現在地

1分で読めます
アクセルスペースHD(402A): 国策「宇宙戦略基金」に乗るスペーステックの本命。赤字成長株の現在地

こんにちは、okuriruです。

最近は宇宙関連のニュースを目にする機会が増えましたね。防衛や気象観測、通信など、私たちの生活インフラとして「宇宙」がますます身近なものになっています。

今回は、そんな宇宙産業で独自の存在感を放つスタートアップ、株式会社アクセルスペースホールディングス(402A)を取り上げます。2025年8月にIPOを果たした同社ですが、先行投資による赤字が続いていることから、市場では評価が分かれやすい銘柄です。

しかし、「巨額の国策追い風」と「IPOによる財務強化」という2つの視点で見ると、単なる赤字スタートアップとは違う景色が見えてきます。バリュー投資家の視点で、同社の「本当の実力」と「投資妙味」を探っていきましょう。

宇宙を普通の場所にするレディメイド革命

同社は、超小型衛星の開発・製造からデータ販売までを手がける日本発のスペーステック・リーダーです。東大・東工大発の技術をベースに、2008年から実績を積み重ねてきました。

ビジネスの柱は大きく2つあります。

  1. AxelLiner事業: 顧客(主に官公庁やJAXA)向けに専用衛星を開発・運用する事業です。最大の特徴は、衛星設計を「レディメイド」(汎用化)することで、コストを大幅に下げ、短期間での打ち上げを可能にしている点です。
  2. AxelGlobe事業: 自社保有の衛星(GRUSシリーズ)で地球を観測し、その画像データや解析ソリューションを民間向けにも販売する事業です。

同社の勝ち筋は、製造で培った技術を自社サービスに活かす「垂直統合のシナジー」にあります。また、政府の宇宙戦略基金や防衛省の衛星コンステレーション構想といった巨大な国策予算に対して、国内トップクラスの実績で食い込めるポジションにあることは大きな強みです。

成長性と効率性:踊り場と受注残高のコントラスト

まずは、成長性と効率性のデータを見てみましょう。

項目2025
売上高(億円)15.9
純利益(億円)-19.5
売上高純利益率(%)-122.9

2025年5月期の売上高は15.8億円(前年比-24.8%)、純利益は19.5億円の赤字でした。数字だけを見ると成長が止まっているように見えますが、内実を確認すると少し印象が変わります。

売上減の主な要因は、政府系委託プロジェクトが端境期に当たり、進行基準での売上計上が減少したためです。一方で、補助金収入などにより赤字幅は前期(31.7億円の赤字)から縮小しています。

ここで最も注目すべきは受注残高です。足元では受注残高が114億円(前年同期比116.9%増)と急拡大しており、今の売上高の数倍にあたる仕事がすでに積み上がっています。宇宙ビジネスは足の長いプロジェクトになるため、一時的な売上のブレよりも、この「前受金など着手金の積み上がり」が将来の成長を示す重要なシグナルになります。

オーナー利益:先行投資の重さと将来への布石

次に、会計上の利益ではなく本当の稼ぐ力を示すオーナー利益を確認します。

(※シミュレーション条件:推定株価700円、期待利回り5%)

項目2025
オーナー利益(億円)-20.84
オーナー利益価値(億円)-416.74

オーナー利益もマイナス20.8億円と、厳しい数字が並びます。営業キャッシュフローの赤字幅が拡大しているのは、次世代衛星GRUS-3の開発に伴う前渡金(部材確保)や在庫の増加が主因です。

これは純粋な出血というよりは、将来の売上を作るための「必要な先行投資」と言えます。とはいえ、手元の資金が尽きてしまえば事業は継続できません。そこで重要になるのが、財務の安全性です。

財務の安全性:IPOで手に入れた死なない強さ

ネットキャッシュの推移から、同社の下値耐性を見てみましょう。

項目2025
ネットキャッシュ(億円)28.92
正味流動資産比率(%)6.45

2025年5月期時点では「継続企業の前提に関する注記」が付与されており、資金繰りへの懸念がありました。しかし、直後の2025年8月にIPOを果たし、約71億円もの資金調達に成功しました。

このIPOにより、当面の開発投資や運転資金をしっかりと確保できた点は極めてポジティブです。死なない強さを手に入れたことで、腰を据えて大型プロジェクトに取り組める環境が整いました。

投資家としての結論:ロマンと算盤の狭間で

アクセルスペースホールディングスは、宇宙の民主化というロマンだけでなく、豊富な受注残高という算盤も持ち合わせた企業です。

いま注目する理由としては、何と言っても防衛省の衛星コンステレーション構想など、巨額の国策予算の恩恵を直接受けられる立ち位置にいることです。また、IPOによる財務強化で倒産リスクが大きく後退したことも見逃せません。

一方で、まだ慎重でいるべき理由もあります。宇宙空間での確実な稼働という技術的リスクは常につきまといます(過去にも実証機での不具合がありました)。また、売上の大半を政府系顧客に依存しているため、政策変更のリスクもゼロではありません。

現時点の株価(推定株価700円)は、将来の黒字化と高成長をある程度織り込んだ水準と言えます。バリュー投資家としては、赤字企業に大きな資金を投じるのは勇気がいりますが、巨額の受注残高が売上に変わり、営業キャッシュフローがプラスに転じるタイミング(黒字化の蓋然性が高まった段階)が、本格的な投資の好機になるのではないでしょうか。


株式会社アクセルスペースホールディングス の「あるべき株価」をシミレーションしてみませんか?

記事で紹介した株式会社アクセルスペースホールディングスの財務データ、もっと深く分析したいと思いませんか?

okuriru.comなら、バフェット流の「オーナー利益」に基づいた株式会社アクセルスペースホールディングスのシミュレーションが可能です。あなたが求める期待利回り(ハードル・レート)を入力するだけで、独自の理論株価を瞬時に算出します。

👉 株式会社アクセルスペースホールディングスの理論株価を計算する

「この株、今の価格は妥当?」という疑問を、自分だけの基準で解消しましょう。財務データのCSVダウンロードも、もちろん可能です!


タグ