OKURIRU ブログ

金利ある世界で躍動する「九州のガリバー」。西日本フィナンシャルホールディングス(7189)の真の稼ぐ力

1分で読めます
金利ある世界で躍動する「九州のガリバー」。西日本フィナンシャルホールディングス(7189)の真の稼ぐ力

最近、福岡の街を歩いていると、やたらと工事現場や新しいビルの建設を目にします。休日に家族で出かけても「またここも建て替えてるね」と妻と話すことが増えました。

実はこれ、単なる街の再開発にとどまらない、九州全体を巻き込んだ大きな変化の波なんです。TSMCの熊本進出を筆頭に、いわゆる「シリコンアイランド九州」の復活劇が起きています。

今回は、この活況に沸く九州の資金需要をガッツリ受け止め、さらに「金利ある世界」への回帰で本領を発揮し始めた、株式会社西日本フィナンシャルホールディングス(以下、西日本FH)の財務を読み解いていきます。

地域最強の総合金融グループとしての勝ち筋

西日本FHは、福岡を本拠地とする「西日本シティ銀行」を中核とした金融グループです。

彼らのビジネスモデルの強み、つまり「勝ち筋」は以下の2点に集約されます。

  1. 圧倒的な地域シェアと半導体バブルの恩恵 福岡県を中心に強固な顧客基盤を持っています。現在、九州は半導体関連の設備投資や大規模な都市開発により、全国を上回る経済成長を遂げており、企業からの旺盛な資金需要(設備投資・運転資金)を直接取り込める最高のポジションにいます。

  2. 金利上昇による劇的な利ザヤ改善 日本銀行の政策金利引き上げにより、長らく苦しんできた「マイナス金利」の呪縛から解放されました。貸出金利息や日銀預け金利息が増加し、収益の根幹である「資金利益」が大幅に改善しています。

まさに、追い風に帆を上げる状態です。

分析: 成長性と効率性

では、実際に数字を見てみましょう。

指標202320242025
売上高(億円)1604.51856.01964.2
純利益(億円)260.6235.8309.8
売上高純利益率(%)16.212.715.8

2025年3月期の純利益は309.8億円。これは、2025年2月に上方修正した予想をさらに上回る、合併後での最高益という素晴らしい着地でした。

貸出金の伸びが前年比で約7,431億円増と顕著であり、九州経済の強さがダイレクトに数字に表れています。銀行の本業とも言える資金利益の増加が、見事に利益を押し上げました。

バリュエーション分析: オーナー利益

会計上の利益が絶好調なのはわかりました。しかし、バリュー投資家として気になるのは「本当の稼ぐ力」です。

(※シミュレーション条件:推定株価4,000円、期待利回り5%)

指標202320242025
オーナー利益(億円)241.86220.86270.4
オーナー利益価値(億円)4837.24417.25408.0

純利益に減価償却費を加え、店舗改良やシステム投資(DX化)などの設備投資を差し引いたオーナー利益は、2025年実績で270億円。純利益の規模から見ても、非常に健全なキャッシュを創出しています。

期待利回り5%で割り引いた「オーナー利益価値」は5,408億円となり、現在の時価総額(株価3,900円台)と推定株価4,000円のラインが非常に近接していることがわかります。十分な事業価値を内包していると評価できます。

財務の安全性: ネットキャッシュ

次に、バリュー投資の要である「死なない強さ」を確認します。

指標202320242025
ネットキャッシュ(億円)-124430.99-128951.04-130132.48
正味流動資産比率(%)-2197.39-2296.82-2334.63

えっ、ネットキャッシュがマイナス13兆円!?

と、数字だけ見て驚かれた方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。これは銀行というビジネスモデル特有の現象です。

銀行にとって、皆様からお預かりしている「預金」は会計上「負債」に計上されます。そのため、預金が集まれば集まるほど負債が膨張し、計算上のネットキャッシュはとんでもないマイナスになります。

むしろ、自己資本比率は11%台半ば(バーゼルIII最終化ベースでは10%台前半)を目標とし、健全な水準を維持しています。「負債の質」が顧客からの預金であることを踏まえれば、財務の安全性に特段の不安はありません。

気になるリスク

死角がないように見える西日本FHですが、投資家としては以下のリスクを頭の片隅に置いておく必要があります。

  • 人口動態の変化 九州全域で見ると、域外への人口流出が続いています。長期的には預金・貸出の両面で顧客基盤が縮小していく懸念は拭えません。
  • 世界的な景気悪化 通商政策や地政学リスクにより、頼みの綱である半導体関連や九州経済自体が停滞した場合、取引先の業況悪化による「信用コスト」が増大する恐れがあります。
  • デジタル競合の台頭 ネット銀行などの新規参入者との利便性やコスト競争は、今後も激しさを増すでしょう。

投資家としての結論

西日本FHは、まさに「金利ある世界への帰還」を象徴するような銘柄です。

シリコンアイランド九州という最高の立地と、金利上昇というマクロ環境の追い風を両立させており、PBR1倍割れの現状を踏まえると、バリュー投資の対象として非常に魅力的です。

一方で、現在の株価は私の試算した推定株価(4,000円)にかなり近づいてきています。「安くていい株を狙う」というマイルールに照らし合わせると、ここから上値を追うかは悩ましいところです。私なら、全体の相場が崩れて市場が一時的にパニックになり、株価が不当に売り込まれたタイミングをじっと待ちたいと思います。

温泉に浸かりながら、次のチャンスが来るのをのんびり待つのも、投資の醍醐味ですからね。


株式会社西日本フィナンシャルホールディングス の「あるべき株価」をシミレーションしてみませんか?

記事で紹介した株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの財務データ、もっと深く分析したいと思いませんか?

okuriru.comなら、バフェット流の「オーナー利益」に基づいた株式会社西日本フィナンシャルホールディングスのシミュレーションが可能です。あなたが求める期待利回り(ハードル・レート)を入力するだけで、独自の理論株価を瞬時に算出します。

👉 株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの理論株価を計算する

「この株、今の価格は妥当?」という疑問を、自分だけの基準で解消しましょう。財務データのCSVダウンロードも、もちろん可能です!


タグ