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サークレイス(5029):赤字からV字回復。週次管理とServiceNowが生み出した稼ぐ力の正体

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サークレイス(5029):赤字からV字回復。週次管理とServiceNowが生み出した稼ぐ力の正体

日常的にシステム開発の現場を見ていると、「誰が今どれくらい手が空いているか」を把握することがいかに難しく、そしていかに重要かを痛感します。リソースの無駄は、そのまま企業の出血を意味するからです。

今回取り上げるサークレイス株式会社(5029)は、まさにその「稼働率の管理」を極めることで、見事なV字回復を遂げた企業です。

同社はSalesforceやServiceNowといったクラウドプラットフォームの導入支援を行うDX支援集団ですが、前年の赤字から一転、今期は力強い黒字を叩き出しました。その裏にある「稼ぐ力の正体」と、バリュー投資家として見逃せないリスクについて、財務データから読み解いていきましょう。

マルチクラウドと自社SaaSの二刀流

サークレイスのビジネスモデルは、主に2つの柱から成り立っています。

一つは、Salesforce(顧客管理)、Anaplan(計画管理)、ServiceNow(ITサービス管理)など、複数のクラウド基盤を横断的に支援するプロフェッショナルサービスです。特定のプラットフォームに依存しすぎない「マルチクラウド対応力」が、顧客の複雑なDXニーズを捉えています。

もう一つは、自社開発SaaS「AGAVE」(海外駐在員管理システム)の提供です。すでに460社以上に導入されており、安定したストック収益を生み出す基盤となっています。

この「フロー収益(導入支援)」と「ストック収益(SaaS)」のハイブリッド構造が、同社の底堅さを支えています。

成長性と効率性:週次管理の魔法とServiceNowの爆発力

まずは売上と利益の推移を見てみましょう。

指標202320242025
売上高(億円)25.32938
純利益(億円)0-0.41.8
売上高純利益率(%)0-1.44.8

2025年3月期の売上高は(前年比+31.1%)となる38億円へと飛躍し、純利益も1.8億円と見事な黒字転換を果たしました。

この劇的な改善の裏には、2つの大きな要因があります。

第一に、プロジェクト単位ではなく「週単位でのリソース配置の最適化」を徹底したことです。この精緻な稼働管理により売上原価率が劇的に改善し、営業損益を前年から約2.9億円も押し上げる原動力となりました。

第二に、ServiceNowに特化した「アオラナウ事業」の急拡大です。売上高が(前年比619.4%増)の5.6億円へと爆発的に成長し、事業開始からわずか1年で単月黒字化を達成するという、驚異的な立ち上がりを見せています。

バリュエーション分析:本当の稼ぐ力はどれくらいか

会計上の利益がそのまま手元に残るわけではありません。設備投資などを差し引いた「オーナー利益」で、同社の真のキャッシュ創出力を見てみましょう。

(※シミュレーション条件:推定株価600円、期待利回り5%)

指標202320242025
オーナー利益(億円)0-0.421.78
オーナー利益価値(億円)0-8.335.66

2024年の沈み込みから一転、2025年はオーナー利益でも1.78億円のプラスを記録しています。特筆すべきは、同社のビジネスモデルが大規模な設備投資を必要としない点です。

稼働率のコントロールさえ効いていれば、売上の伸びがダイレクトにキャッシュとして残る構造になっています。

財務の安全性:下値への耐性は十分か

次に、バリュー投資で最重視する「死なない強さ」、すなわちネットキャッシュを確認します。

指標202320242025
ネットキャッシュ(億円)04.564.78
正味流動資産比率(%)017.818.0

ネットキャッシュは約4.8億円で推移しており、自己資本比率も54.5%へと改善しています。

現時点での試算時価総額(約26億円)に対して、正味流動資産比率は18.0%と、圧倒的な割安水準とまでは言えません。しかし、前受金(契約負債)の割合も小さく、事業継続において致命傷となるような財務的な脆弱性は見当たりません。十分な下値耐性を備えていると評価できます。

隠れたリスクと懸念材料

数字の表面上は素晴らしい回復ですが、投資家としては以下のリスクに目を光らせておく必要があります。

  1. 生成AIによる労働集約モデルの脅威 コーディングや設定作業がAIに代替される流れは加速しています。人月単価ベースのビジネスが縮小した際、いかにコンサルティング領域等の高付加価値レイヤーへシフトできるかが今後の鍵です。
  2. 関連当事者取引の存在 有価証券報告書の注記を見ると、会長が設立した新会社(Databricks活用支援)に対して1億円規模の資金提供が行われています。将来の事業連携を見据えた戦略的なものとはいえ、ガバナンスの透明性や投資回収の成否については、今後も注意深く見守る必要があります。

投資家としての結論

サークレイスは、「稼働管理という地味だが強力なオペレーション改善」と、「ServiceNowという高成長市場への一点突破」を見事に掛け合わせ、強い収益体質へと生まれ変わりました。

現在、推定株価600円(時価総額約26億円)という水準は、同社が今後もこのオーナー利益(約1.8億円)を持続・成長できるのであれば、十分に妙味のある水準です。

ただし、労働集約型ビジネスが抱える構造的なリスクや、関連企業への資金流出といった懸念材料も存在します。私なら、現時点では「監視リストの上位に入れつつ、次回の決算でアオラナウ事業の成長持続性と、AI台頭による利益率への影響を見極めたい」と考えます。

数字の裏にある「経営の意志」を感じさせてくれる、非常に興味深い一社です。


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