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株価1000円台で買える「キャッシュ製造機」。ZOZOのROE50%は持続可能か?

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株価1000円台で買える「キャッシュ製造機」。ZOZOのROE50%は持続可能か?

こんにちは。福岡で妻と子と3人でつましく暮らしながら、密かに「億り人」を目指している個人開発者です。普段はokuriru.comという企業分析サイトのコードを書いています。

みなさんは、服を買うときどこで買いますか? 私はもっぱらユニクロか、妻に勧められたZOZOTOWNです。「ツケ払い」で若者の心を掴んだのも今は昔、今やZOZOは日本のファッションインフラとして完全に定着しましたね。

先日、okuriru.comのデータ更新作業をしていた時のこと。大量のCSVデータを流し込んでいたら、ある企業のROE(自己資本利益率)が、エラーかと思うほどの数値を叩き出していました。

49.4%

それが株式会社ZOZOでした。日本企業の平均ROEが8%〜10%と言われる中で、この数字は異常です。さらに、2025年4月には1:3の株式分割を実施し、株価も手頃な1000円台(調整後)になっています。

「これは、単なる通販サイトじゃない。効率化を極めた『キャッシュ製造機』だ」

そう直感した私は、キーボードを叩く手を止め、ZOZOの財務諸表と向き合うことにしました。今回は、エンジニア視点でZOZOの凄みと、隠されたリスクについて深掘りしていきたいと思います。

1. ビジネスモデル:在庫を持たない「錬金術」

ZOZOの強さを一言で言えば、「在庫リスクを負わない受託販売モデル」に尽きます。

Amazonや一般的な小売業は、商品を仕入れて倉庫に保管し、売れ残れば在庫処分のリスクを負います。しかし、ZOZOの「ZOZOTOWN事業」の売上の大半は「受託販売」です。

  1. ブランドがZOZOの倉庫(ZOZOBASE)に商品を預ける。
  2. 商品が売れたら、ZOZOが発送する。
  3. 売上の約30%を「受託販売手数料」としてZOZOが受け取る。

このモデルの凄さは、売上総利益(粗利)の高さに表れています。在庫評価損のリスクがないため、安定して高収益を叩き出せるのです。

また、最近注目すべきは「送料値上げ」の影響です。2024年4月から送料を一律330円に値上げしましたが、決算資料を確認する限り、深刻な顧客離れは起きていません。むしろ、「12,000円以上の購入で送料無料」という施策を拡大したことで、一人当たりの購入単価(合わせ買い)を押し上げる結果になっています。

これは、ZOZOというプラットフォームが、ユーザーにとっていかに「なくてはならない存在」になっているかの証明でもあります。

2. 徹底的なデータ分析

それでは、okuriru.comのデータを使って、ZOZOの財務実態を丸裸にしていきましょう。

成長性・効率性:営業利益率30%の衝撃

まずは、過去4年間の業績推移をご覧ください。

指標2022202320242025
売上高(億円)1,6621,8341,9702,131
純利益(億円)345395443453
売上高純利益率20.8%21.6%22.5%21.3%

(出典:有価証券報告書よりokuriru.com作成)

ご覧ください。売上高は綺麗な右肩上がりです。特に注目すべきは売上高純利益率が常に20%を超えている点です。営業利益率に至っては30%を超えています。

製造業や一般的な小売業では、営業利益率10%でも「優良企業」と呼ばれます。30%という数字は、キーエンスや任天堂といった「超・高収益企業」と肩を並べる水準です。

前期比で売上高が8.2%伸びていますが、これは商品取扱高の伸び(+7.0%)に加え、広告事業の成長(+15.1%)が寄与しています。「ただ服を売る」だけでなく、アプリ内の広告枠で稼ぐメディアとしての側面も強まっています。

オーナー利益分析:真の実力を暴く

次に、ウォーレン・バフェットが重視する「オーナー利益」を計算してみましょう。これは、会計上の利益ではなく、「企業が株主のために自由に使える現金はいくらか?」を示す指標です。

計算式:オーナー利益 = 純利益 + 減価償却費 - 維持のための設備投資

ZOZOの場合、2023年〜2024年にかけて物流拠点「ZOZOBASE」への大型投資(成長投資)を行っていましたが、2025年には一服し、設備投資額は62億円に落ち着いています。ここでは保守的に、設備投資の全額を差し引いて計算してみます。

指標2022202320242025
オーナー利益(億円)351323385436
オーナー利益価値(億円)7,0266,4617,6938,711

(※オーナー利益価値は、割引率5%で永久成長率0%として算出した理論値)

2025年期のオーナー利益は約436億円。非常に潤沢なキャッシュを生み出しています。

現在の時価総額が約9,900億円(株価1100円×9億株と仮定)ですから、PER(株価収益率)は約22倍となります。

「PER22倍? ちょっと割高じゃない?」

そう思うかもしれません。しかし、この会社には「隠し財産」があります。それが次に紹介する「ネットキャッシュ」です。

ネットキャッシュ分析:盤石の財務基盤

指標2022202320242025
ネットキャッシュ(億円)453537497715
対流動資産比率44.3%43.5%40.4%48.5%

ZOZOは、なんと**715億円ものネットキャッシュ(現預金 - 有利子負債)**を保有しています。無借金経営に近い状態です。

この豊富な資金を背景に、ZOZOは株主還元を強化しています。配当性向は驚異の**70%**を超え、さらに自社株買いも含めた総還元性向は80%超を目標としています。

「稼いだお金は、再投資に回すよりも株主に返した方が効率が良い」

経営陣はそう判断しているのでしょう。これは成長の限界とも取れますが、投資家にとっては「計算できるインカムゲイン(配当)」の源泉となります。

3. 投資家としての「懸念点」と「本音」

さて、ここまで良いことづくめですが、”中の人”として気になるリスクについても触れておかねばなりません。私が有報を読み込んでいて「背筋が凍った」記述があります。

茨城・千葉への物流集中リスク

「事業等のリスク」の項目に、さらっと怖いことが書いてあります。

「当社グループの本社及び主たる物流拠点は千葉県および茨城県内にあり…(中略)…大規模災害が発生した場合…物流が停滞する可能性があります」

ZOZOのビジネスは、ZOZOBASE(倉庫)が心臓部です。ここが止まれば、売上は即座にゼロになります。その心臓部が、首都圏直下型地震のリスクが高いエリアに集中しているのです。効率性を追求した結果のあえての集中配置だとは思いますが、ここが被災した場合のBCP(事業継続計画)がどこまで機能するかは未知数です。

BtoB事業の縮小

かつて「第二の柱」として期待されたBtoB事業(ブランド公式サイトの支援)が、ひっそりと縮小傾向(売上高の構成比で減少)にあります。大手ブランドが自社でECサイトを内製化し、ZOZOから離脱する動きは、今後も続く可能性があります。

ZOZOにとっては、「ZOZOTOWN」というモールの集客力を維持し続けることが今まで以上に重要になります。

4. 結論:億り人ポートフォリオの「守護神」になれるか?

結論として、私は現在のZOZOを「適正価格の優良債券」のように見ています。

  • 強み: 圧倒的な利益率とキャッシュ創出力。
  • 還元: 配当性向70%超の株主優遇姿勢。
  • 価格: PER22倍は、成長率と配当利回りを考慮すれば「フェアバリュー(適正価格)」です。

爆発的な株価2倍、3倍を狙う銘柄ではありません。しかし、ポートフォリオに組み入れておけば、毎年チャリンチャリンと配当を生み出し、暴落時にもネットキャッシュがクッションとなってくれる。そんな「守護神」のような存在になり得ると判断しました。

もし私がZOZOの社長なら、この潤沢なキャッシュを使って海外M&Aを仕掛けるか、あるいは思い切ってもう一度「ZOZOSUIT」のような破壊的なイノベーションに全振りするかもしれません。今のZOZOは少し「大人」になりすぎている気もしますからね。

それでも、この「キャッシュ製造機」の魅力は色褪せません。私は、相場が調整したタイミングで、少しずつ拾っていきたいと思います。


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