こんにちは、okuriru.com の開発者です。福岡の自宅でコードを書いていると、妻から「最近メルカリ、売れなくなったよね?」と話しかけられました。我が家の断捨離係としては聞き捨てならない言葉です。「いやいや、そんなはずは…」と思いながらPCを開き、開発中の okuriru.com でデータを叩いてみると、私の背筋が凍りました。
「売上の伸びが、止まっている…?」
かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだったメルカリ。しかし、深掘りしていくと、そこには「成長の終わり」ではなく、「別の生き物への進化」が隠されていました。今日は、エンジニア兼・個人投資家の視点で、メルカリが決算書の裏に隠した「真の姿」を暴いていきます。
1. ビジネスモデルの深掘り:銀行化と越境商社
データを見ると、メルカリの変貌ぶりは一目瞭然です。かつての「フリマアプリ一本足打法」からは完全に卒業しています。
① 「銀行化」するメルカリ
今回の決算で最も驚いたのは、営業キャッシュフローが赤字(▲119億円)であること。「利益は倍増しているのに、なぜ現金が減る?」答えは「メルカード」です。ユーザーが「つけ払い」や「カード払い」をすると、メルカリにとっては「一時的な現金の持ち出し(債権の増加)」になります。つまり、商品が売れていないのではなく、金融事業が爆発的に伸びて、お金を貸しまくっている状態なのです。債権回収率は99.3%。優秀なAI与信によって、この「貸金」は将来、金利と手数料というチャリンチャリンビジネス(ストック収入)に変わります。これは立派な「銀行化」です。
② ひっそりと爆発する「越境EC」
そして、投資家が最も注目すべきはここ。「越境EC(海外販売)」です。円安を追い風に、日本の「おもちゃ・フィギュア・ブランド品」が海外で飛ぶように売れています。そのGMV(流通取引総額)は、なんと900億円を突破。 US事業が苦戦する一方で、この「グローバルせどり」プラットフォームが新たな収益の柱に育っています。「メルカリUS」は正直厳しい戦いが続いていますが、この「日本発・世界行き」のルートこそが、メルカリの本当の勝ち筋かもしれません。
③ 「メルカリ ハロ」の早期撤退という決断
スキマバイト「メルカリ ハロ」。登録者数は凄まじい勢いでしたが、2025年12月でのサービス終了が決定しました。これを「失敗」と見るか、「損切りの速さ」と見るか。私は後者です。収益化の目処が立たない事業をダラダラ続けるより、スパッと止めて「Fintech」と「越境」にリソースを集中する。この経営判断の速さは、むしろ好感が持てます。
2. 財務の真実:筋肉質への変貌
それでは、実際の数字を見ていきましょう。
成長性・効率性分析
売上高は微増ですが、注目すべきは「純利益率」の劇的な改善です。
| 指標 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 1,470 | 1,721 | 1,874 | 1,926 |
| 純利益(億円) | -50 | 73 | 98 | 261 |
| 売上高純利益率 | -3.4% | 4.2% | 5.2% | 13.6% |
(純利益率13.6%)というのは、プラットフォーマーとして非常に優秀な数字です。「筋肉質な体質」への転換は完了したと言っていいでしょう。
オーナー利益分析
ウォーレン・バフェットが重視する「オーナー利益(真の稼ぐ力)」を見てみます。
| 指標 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|
| オーナー利益(億円) | -5 | 107 | 154 | 205 |
純利益とほぼ同水準のオーナー利益を叩き出しています。これは、メルカリの設備投資(CapEx)が非常に少なく済む「ソフトウェアビジネスの強み」を証明しています。現在の株価水準(時価総額約5,000億円)で見ると、オーナー利益利回りは約4.1%。グロース株としては「割安」の水準に入ってきたと言えます。
ネットキャッシュ分析
| 指標 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|
| ネットキャッシュ(億円) | 708 | 215 | -253 | 10 |
| 自己資本比率 | 10.8% | 12.9% | 14.3% | 18.3% |
ネットキャッシュ(ここでは流動資産+投資有価証券-負債合計と定義)は、2024年の大幅マイナスから 2025年にはプラス10億円へ急回復 しています。これは、Fintech事業の債権回収が順調に進み、資産の流動性が高まっていることを示唆しています。自己資本比率は18.3%(IFRS連結)。Fintech事業を抱える企業としては、健全な水準を維持しています。
3. 投資家としての「本音」と結論
「買い」なのか?
正直、かつてのような「売上倍々ゲーム」を期待すると火傷します。US事業の再成長も、まだ不透明です。しかし、今のメルカリは**「安定収益の日本事業 + 成長期待のFintech/越境EC」**という、非常にバランスの良いポートフォリオを持っています。
- リスク: US事業のさらなる低迷、Fintechの貸倒率悪化(不況時)。
- リターン: 越境ECの爆発的成長、利益率のさらなる向上。
私が社長なら、このまま「選択と集中」を進めます。株価がピークから低迷している今、PER 10倍台後半というのは、このビジネスモデルの強さを考えれば「バーゲンセール」に近いかもしれません。「億り人」を目指すポートフォリオの守り神兼・成長枠として、十分に検討に値する銘柄です。
ただし、投資は自己責任で。安全マージンをしっかり確保してエントリーしてくださいね。
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