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ソフトバンクG:V字回復の裏側にある「ASI」への巨大な賭けとリスク

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ソフトバンクG:V字回復の裏側にある「ASI」への巨大な賭けとリスク

こんにちは。普段は okuriru.com という、世界中の決算データをひたすらCSVに変換してはニヤニヤするサイトを作っています。最近、娘が「AI」を「エーアイ」ではなく「アイ」と呼ぶようになりました。「愛」なのか「AI」なのか分かりませんが、孫正義社長にとっては間違いなく後者、いや「AIへの愛」なんでしょうね。

さて、今日はそんな孫社長率いる**ソフトバンクグループ(9984)**について、エンジニア兼・億り人を目指す投資家としての視点で深掘りしていきます。先日発表された決算、見ました? 「純利益1.1兆円のV字回復!」 と見出しが踊っていましたが、CSVをパースしてみると、ちょっと違う景色が見えてくるんですよ。

1. ビジネスモデルの深掘り:投資会社か、事業会社か

まず結論から言いますが、今のソフトバンクグループ(SBG)を見る時、「営業利益」なんて見ても1ミリも意味がありません。 彼らの本質は、「世界最大のAI特化型ETF(上場投資信託)」です。しかも、レバレッジが掛かった。

V字回復の「正体」

2025年3月期(FY2024)の数字を見てみましょう。前年の巨額赤字から一転、1.15兆円の純利益を叩き出しました。「すごい!本業が儲かったんだ!」と思った方、残念ながら違います。

この利益の大部分は「投資利益(3.7兆円)」です。内訳をドライに因数分解するとこうなります:

  1. アリババ株:約1.8兆円の利益(デリバティブ決済益など)
  2. Tモバイル株:約1.3兆円の利益
  3. SVF(ビジョンファンド):SVF1は復調しましたが、SVF2はまだ赤字(-5000億円超)。

要するに、「持っていた株(特にアリババとTモバイル)をうまく売った」&「円安でドル建て資産の価値が膨らんだ」というのが実態です。稼ぐ力が復活したというよりは、「ポートフォリオの入れ替えに成功した」と評価するのが正しいでしょう。

「ASI(人工超知能)」へのピボット

有報やIR資料を読み込むと、孫社長のメッセージが明らかに変わったことに気づきます。これまでは「Defense(守り)」一辺倒でしたが、今は「ASI(Artificial Super Intelligence)の実現」を掲げ、再び「攻め」に転じています。

特に注目すべきは、OpenAIへの巨額出資です。最大400億ドル(約6兆円)規模のコミットメント。これはただの「投資」ではありません。「Stargate Project(5000億ドル規模のAIインフラ)」を見据えた、「インフラ構築者」への回帰です。かつてブロードバンド(Yahoo! BB)でインフラを作った時のように、今度はAIの物理インフラ(チップ、データセンター、電力)を押さえに行っています。

2. 財務の真実:CSVが語る「数字の裏側」

さて、ここからが本番です。okuriru.comが生成したCSVデータを元に、転置テーブルで財務の健全性をチェックしましょう。

成長性・効率性分析

まずは売上と利益の推移です。SBGの「売上」は、傘下のソフトバンク(通信)やLINEヤフー、そしてArmの売上が合算されたものです。

指標2022202320242025
売上高(億円)62,21565,70467,56572,437
純利益(億円)-17,080-9,701-2,27611,533
売上高純利益率(%)-27.5%-14.8%-3.4%15.9%

売上高は右肩上がりですが、これは主に円安効果とArmの成長によるものです。純利益のボラティリティ(変動幅)を見てください。マイナス1.7兆円からプラス1.1兆円へ。 このジェットコースターこそがSBGの醍醐味であり、恐怖でもあります。これを許容できない投資家は、そっとブラウザを閉じてeMAXIS Slimを買うべきです。

3. オーナー利益分析:NAVこそが真実

ウォーレン・バフェットが好む「オーナー利益」ですが、SBGのような投資会社の場合、通常の計算式(純利益+減価償却費-設備投資)はあまり参考になりません。ここでは一応算出していますが、SBGにおいては**「NAV(Net Asset Value:保有株式価値 - 純負債)」の増減**こそが真のオーナー利益だと読み替えてください。

指標2022202320242025
オーナー利益(億円)-8,588-7766,30820,199
オーナー利益価値(億円)-171,768-15,537126,160403,980

2025年のオーナー利益が2兆円と大幅なプラスになっていますが、これは前述の通り「投資利益」が乗っかっているためです。しかし、重要なのは「Armの株価」です。現在のNAVの大部分はArm(とSVF)で構成されています。つまり、我々は孫さんを通じて、実質的にNVIDIAやArm、そしてOpenAIに投資していることになります。

※シミュレーション条件:期待収益率5%、割引率はリスクを考慮して高めに設定

4. 財務の安全性:LTVの「マジック」に騙されるな

ここが一番の落とし穴です。CSVの「ネットキャッシュ」を見てみましょう。

指標2022202320242025
ネットキャッシュ(億円)-242,328-210,881-203,486-196,904
正味流動資産比率-3.67-3.60-3.47-3.42

マイナス20兆円!? 倒産するじゃん!」…と早合点してはいけません。これは連結会計の罠です。このマイナスには、ソフトバンク(通信子会社)などが抱える事業上の有利子負債が含まれています。これらの借金は「ノンリコース(親会社に返済義務がない)」なので、SBG本体のリスクとは切り離して考える必要があります。

真に見るべきは「単体LTV(Loan to Value)」です。 SBG本体の純負債を保有株式価値で割ったこの指標は、現在16〜18%程度と推移しています。彼らが掲げる「平常時25%未満」というルールは守られています。 S&Pなどの格付け機関が「35%に近づいたら格下げするぞ」と脅していますが、現状はまだコントロール可能な範囲内です。

ただし、リスクはあります。「分母(株価)」が暴落した時です。もしAIバブルが弾けてArm株価が半値になれば、LTVは一瞬で30%を超え、孫さんは再び「守り」に入らざるを得なくなります。OpenAIへの追加出資も、このLTVを悪化させる要因になり得ます。

5. 投資家としての「本音」と結論

もし私がSBGの社長…ではなく、一株主としての本音を言うなら。

この銘柄は、“AIバブル"への入場券だ

SBGは、これからの10年で世界を変える(かもしれない)ASIというテーマに対して、個人投資家がアクセスできる最もレバレッジの効いた手段です。 OpenAIへの出資やStargate Projectは、成功すればSBGを「AI時代のGAFAM」にするポテンシャルがあります。一方で、失敗すれば「ただの借金まみれの持株会社」に逆戻りです。

買い時か? 現在の株価は、NAVに対して**大幅なディスカウント(割引)**状態で放置されています。市場はまだ「孫正義のAIビジョン」を完全には信じていない(あるいはコングロマリット・ディスカウントを適用している)ようです。もしあなたが「AIは人類を超える」と信じ、かつ「株価が半分になっても夜ぐっすり眠れる」メンタルを持っているなら、このディスカウントは「バーゲンセール」に見えるはずです。

私はどうするか? もちろん買います。ただし、ポートフォリオの「スパイス」として。メインのおかずにするには、ちょっと刺激が強すぎますからね。

さあ、あなたはこの「ASI行き」のロケットに乗りますか? それとも地上で見守りますか?


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